3. あの夜確かに君は

あの日 僕らは はしゃいでいたね


君と二人 黄昏どきの商店街

並んで歩く君の横顔

夕焼けが紅く染めて 綺麗だった


手伝うよという僕に

あなたはそこに座っててと

君は微笑んで ひとりキッチンへ


仕方なく僕は 君の後ろ姿を気にしながら

テレビのニュースを見ていたっけ


君の部屋で 君の手料理食べて

なんだか それが当たり前で

時間の経つのを忘れそうになった


一緒に暮らせたらいいのにって

こみ上げる感情を口にしそうで

僕は ゆっくりと立ち上がった


ごちそうさま

美味しかったよ


そう告げるのがやっとの僕に

君は食器を片付けながら

ちいさな声でなにか言ったね


あの夜 あの時 君は何て言ったの?

聞き返す勇気もなくて

気づかないふりをしたけど

あの夜 確かに君は言った


「帰らないで...」


もしあの夜 君の言葉を確かめていたら

僕らは どうなっていたんだろう

ずっと一緒にいられたのかな


今はもう 確かめる術もなくて

臆病な僕を あざ笑うばかり


あなたは 確かめたい言葉

過去に置き去りにしてませんか?

星野美咲 WEB詩集

Poem Story of Lovely Memory