5. 君が涙を教えてくれた

虚脱感にさいなまれるほど悲しくても

噛んだ唇が痛いほど悔しくても

独りぼっちで震えるほど淋しくても

涙なんか流したことなかったのに


男が泣くなんて かっこ悪いと思ってた

僕はそんなに 弱くはないと思ってた


悲しみは乗り越えられる

悔しさはバネになる

淋しさは紛らわせる


そう言い聞かせて 突っ張ってきた


けれど


君が何も言わずにそばに来て

そっと 僕を抱きしめてくれた途端

僕の目から 涙が零れた


君の細い指が 僕の髪を撫でるから

僕は涙を止めることができず

声をあげて泣いていた


悲しいと 悔しいと 淋しいと

弱い自分を見せられる

そんな場所は初めてだったんだ


君が涙を教えてくれた


見栄も意地も張ることない

等身大の僕が そこにいた


君が涙を教えてくれた


君が僕を救ってくれたんだ


あなたは 素直に泣ける場所 ありますか? 

星野美咲 WEB詩集

Poem Story of Lovely Memory