7. 君をさらって…

あの頃 僕らは いつも一緒だったから

ほんの少し離れるだけでも

君は寂しがっていたね


ちょっと旅行してくるだけだよと

苦笑いする僕に

「連れてって」と君は頬をふくらませた


すぐに戻ってくるんだから

お土産買ってくるからと

君をなだめるのが大変だったけど


甘える君が可愛くて

ほんとはポケットの中にでもしまいこんで

さらって行きたいって思ってた


君をさらって

どこか遠くへ

二人だけで行ってしまおうか


夢物語で話したこともあったよね


楽しそうに頷きながら

「誰もいなくてもあなたがいればいい」 

なんて 君はクスリと笑って 僕を喜ばせた


もし 本当にあの時君をさらって

どこか遠くの街に行っていたら

僕らはどうなっていたのだろうね


知らない場所で二人寄り添い

互いに必要としあっていられたのだろうか


君をさらっていればよかったのかな


夢物語を現実にしてしまえる勇気が

僕にあればよかったのかな


君をさらってしまえば

僕らは今も一緒にいられたのかな


あなたの大切な人は 今 そばにいますか?

星野美咲 WEB詩集

Poem Story of Lovely Memory