10. 君が欲しがった未来

付き合い始めの頃

僕らはよく将来の話をしたよね


まだそれは 夢の話で

現実のものじゃなかったから

ずっと一緒にいれるといいね なんて

笑いあっていたんだ


いつの日からか

どちらからともなく

先の話をしなくなった


それは 口にしたら

約束になってしまうから

守らなければいけない

約束になってしまうから

軽はずみには言えなくなったんだ


君のこと 本当に大好きだったけど

ずっと一緒にいたいって思っていたけど


僕はまだまだ未熟者で

自分ひとりで精一杯で

君の未来を守りきるほどの

自信も覚悟も足りなかったから

最後のひと言が言えずにいたんだ


ねぇ 君は待っていてくれたの?

未来の約束を

僕の言葉を


言えなかった僕に

待ちくたびれた君は

背中を向けることで

自由になろうとしたの?


言えなかった僕が

約束できなかった僕が

君を手放してしまったのかな


君の描いた未来を

君が欲しがった未来を

僕の弱さが握りつぶしてしまったのかな


君のいない未来なんて考えられないのに...


あなたは

欲しかった未来を手にしていますか?

星野美咲 WEB詩集

Poem Story of Lovely Memory